大腸カメラをした翌日には、紹介してもらった病院へ行くことになった。
病院側に、とにかく早くいけ!と急かされたので、周囲に状況を十分説明する間もなく紹介先の病院へと向かい、受付を済ませて新しい病院の先生と対面。
後に、その先生とは、今に至るまで長いお付き合いをさせてもらっている。
事前に情報のやり取りは病院間で済ませてあるらしく、先生は、昨日撮影してもらった私の大腸の写真をじっと観察していた。
先生「潰瘍性大腸炎で、この病院に入院してもらうけど、その辺りは前の病院で聞いているかな?」
私「はい、入院することになると伺っています」
実はたいしたことなくて入院しなくていい、みたいな奇跡もちょっと期待したが、やはりダメみたいだ。
これから準備とか、仕事の引継ぎとか忙しくなりそうである。
先生「うん、じゃあ今日からね」
・・・
私「!?」
今日??
先生「着替えはご家族か誰かに持ってきてもらえる?」
いやいやいや!着替えなんてこの際どうでもいいです。
今日からなの?
そんなスピード感?
入院も初めてだから良くわからないが、普通そんな急なのか?
2~3日かけて身辺整理して行くとかじゃないの?
これでは、とても仕事の引継ぎどころの話ではない。
準備とか仕事とかがあるので今日の入院は難しいことを伝えると仕方なく翌日にしてくれた。
私はそんなにやばい状況なのか?
取り急ぎ妻には、明日から入院するようになったことを携帯で連絡。
当然驚いていた。(;´・ω・)スマン
帰宅後、職場の上司にも連絡。
こちらは潰瘍性大腸炎という病気になったところから説明して、今後の仕事の引継ぎについて相談しようとしたが、仕事のことは気にせず養生するようにと言ってもらえた。
本当にありがたく、申し訳ない。
ここは素直にお言葉に甘える。
そこから入院の準備はとにかく忙しく、心の整理も何もあったものではない。
しかもその頃、2021年10月といえば、
世界中でコロナが猛威を振るい、
家の中では3歳の息子と、生後5ヵ月の娘が覇権を握っていた激動の時代。
まさに上を下への大騒ぎで、妻には心身ともに随分と負担をかけてしまったと思う。
そして入院当日、慌ただしくも準備を済ませて再度病院へ。
かなり大きい病院で、よく見ると売店とかもあり、ちょっとワクワク。(*’▽’)
しかし、私はかなりの方向音痴で、入院中に迷わないか結構心配だった。
とりあえず、入院をするにあたり冊子やらプリントやらを受け取り、この病気や入院について色々と説明を受けたり記入したりした。
因みにそこでメモした潰瘍性大腸炎の基本的な知識をザックリ下記する。
- 潰瘍性大腸炎とは、クローン病と並び、炎症性腸疾患と総称される病気である。
- 原因がはっきりと分かっておらず、国から「難病」としていされている。
- 症状は大腸に炎症が起こり、粘膜が傷ついて、ただれ(びらん)やはがれ(潰瘍)がおこり、下痢や血便がでる。
- 現状で完治はできないとされており、上記症状がでる「活動期」から、治療により症状が抑えられた状態「寛解期」にもっていくことが、当面の目標となる。
- 発症の年齢は比較的若い20~30代に多い病気らしく、難病の中では比較的症例も多いとのことで、更に近年増加の傾向にあるらしい。
- 私の場合は大腸全体に範囲が及んでいる「全大腸炎型」。
- 重症度は「中等症」であり、「重症」と「軽症」の間。
- この病気は免疫機能が、正常な細胞を攻撃することで症状が出る病気で、重症になると免疫調整材を注射したり、手術で大腸を摘出したりするらしいのだが、「中等症」なので、まずは炎症を抑える作用がある経口剤での治療を開始することになった。
さて、そんな病気で入院することになったのだが、病室は大きく2種類あり、個室か共同部屋で、個室の方が当然お高い。
個人的には共同部屋でも気にならないし、金銭的にも望ましかったが、
生憎とベッド空きがなかったのと、妻が、個室の方がリラックスできるし、病気の時にケチるものではないと言ってくれていたこともあり、一旦は個室に入院して、慣れてきてベッドに空きが出たら部屋替えも検討することにした。
入院中は、主に年配のベテラン先生と、幾分か若い先生2~3人が担当してくれるようだった。
大きい病院だとよくあるのかもしれないが、師匠と弟子、といった感じなのかもしれない。
果たして、若い方の先生はあまり慣れていないような雰囲気を感じる。
説明もちょっとたどたどしいし、点滴の針を刺すのにしくじって、同じところを何度か刺したり、
血が点滴の管を逆流したりしていた。(´;ω;`)イタイ
痛いのはモチロンいやだが、こういう練習台(笑)で経験を積み、後の日本の医療を支える礎となってくれるのだと思えば、そう悪いものでもないと思える。
あくまでもこの程度なら、だけれど。
加えて、私も要領の良い方ではないため、勝手に少し親近感も感じていた。
これから始まる個室での入院生活。
急に訪れた1人の静けさは、2児の父にとっては実に久々で、初めて一人暮らしを始めた独身時代を彷彿とさせた。
正直に白状するが、その時は周囲の苦労もどこへやらで、
入院という非日常感にちょっとだけワクワクしていた。
そして、不謹慎に浮かれていた自分に罰が当たったのか、
3日後に再び大腸カメラを執り行うことが決定した。
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